サイドキック







「まずテメェの用件から先に言え」

「はァ?どう考えてもお前からじゃねぇの」




このままでは埒が明かない。

そう踏んだ私はヒロヤに先に話すよう促したけれど、頑として聞き入れない男に此方の眉尻が吊り上がる。













「何年も俺のこと騙してたって事か?」


表情の読めない顔でそう言う男は、視線を逸らそうとする私に「逃げるな」と牽制する。








「その恰好、髪、化粧、表情」

「……っ」

「どっからどう見ても今のテメェは女にしか見えねぇ」










「ずっと傍に居た俺にも性別を偽ってきたと。そういう事なんだろ」

「………」

「ユウキ」



ユウキ、と。名前を呼んだことでヒロヤが私に答えを求めていることは分かった。

でも、なんて言えばいい?

どんな説明をしたら納得してくれるんだよ。








「―――…、………」


どんな言葉を口にしたとしても、そんな陳腐なモノじゃ庇いきれない。









だって、"俺ら"のカンケイはそんなに生温いものじゃないから。










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