サイドキック





ミルクティー色に染色された髪の隙間から覗く、切れ長の瞳。

それが一瞬だけ私の視線と重なったから、何とも言えずに口を噤む。



「気にすんなって。今やったらヒロヤのほうが強いかもしれないし」

「お前それ、女の声の癖に男の口調で喋るのヤメロ。なんか調子狂う」

「え、あ……気付かなかった」








まただ。

平穏な生活に慣れ切っていた所以か、それとも女の恰好をしているからか。


自分ではオトコに成って言葉を口にしているつもりでも、実際の行動としては伴っていなくて。








昔はこんなヘマしなかったのに。

何だか軽くショックを受けて落ち込んでいれば、そんな此方の様子には気付いていないらしいヒロヤが言葉を口にする。



「俺は女とヤる趣味ねぇんだよ」

「………」

「………」

「………」

「……、悪い。それどっちの意味で捉えるべきなんだ?」

「喧嘩に決まってんだろ馬鹿!」








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