サイドキック
ピラリ、と。デスクの上に落とされた写真に嫌でも吸い込まれる。
それは大学でできたダチと笑顔で言葉を交わすユウキの姿、だったから。この位置からすると隠し撮りか。
『………性格ワル』
『お前が言うか、それ。可愛らしいお嬢さんじゃないか』
『………』
『照れるなって』
好い年して悪戯なところがある親父は、はにかんだような笑みで俺を一瞥すると。
卓上に置かれた写真を撫ぜるように指先を潜らせると、『でもな』と。
これまでのどこか身内向けの柔らかで、それでいて穏やかな空気を一蹴するように低い声音をおとすものだから思わず息を呑んだ。
『このお嬢さんをそれとなく探るうちに、分かったことがふたつある』
『一つは、彼女の経歴についてだ』
『………族だったってのはナシだぞ。そんなん知ってっから』
『じゃあ、もうひとつ』
『――――彼女を探って付けていたのが俺らだけじゃなかった、ってのは?』
ガツン、と。鈍器で頭を殴られたような感覚を催した。
予想外のことだった。まさか、そんな筈はないと高を括っていた。
それにユウキと俺が揃ってりゃ、みすみすそんなマネさせられるワケがねぇと。そう、思っていたから。