サイドキック
* * *
「お前と昭人の娘さんが二人で会ってるときに付けていた奴らが、複数いるって」
俺言ったよな、と。念を押すようにそう口にした親父の言葉を耳にした瞬間、背後でユウキが息を呑んだ気配がした。
その行動は、やはり探られていることに気付いていなかったことへの明確な裏付けで。
「………ああ、」
これで彼女が連中に気付いていたら、なんて。思わなかった訳ではないけれど。
なるべく背後のユウキを気にしないようにして親父へと返答を述べた。
そんな俺を真直ぐに見据える親父。
まるで弱い心情が筒抜けだと言われている気分になる。
「分かったか?その正体は」
「見くびんなよ」
「じゃ、教えてもらおうか」
そう言われて思うことは、きっと。
親父はこうして俺に調べさせたことの全てを結城社長に話していて、その上でそんなことを言っているんだろうと。
でも、いいのだろうか。
これを言うってことはつまり、元々社長に対する信頼が揺らいで不安定なユウキの心境に、更に拍車を掛けるようなものだと思うのだけれど。
「………いいのか?」
「なにがだ」
「……、」
徹底的にシラを切るつもりらしい親父は、「早く言え」とでも言うようにジっと俺を見据え続ける。