サイドキック
きっとこのときも親父は何かしらの考えを抱いて、それを踏まえた上で俺にこの発言を促した。
ユウキの実家は俺の家から見て、間違いなく敵社にあたる。
しかしながら親父と結城社長のやり取りを見る限り、きっと親父がユウキ自身を追い詰めるような真似はしない筈だ。
それが俺の、胸中で叩き出した結論だった。
「まさにその通り。と、言うことはだ」
話題の転換を示唆した親父を音もなく見つめた。
ここがこの場所におけるターニングポイント。そんな気がして、ならなかった。
「俺や昭人がお前らを付ける中で、その両者どちらにも属さない人間がいることに気付くのは時間の問題だろ?」
「ッ」
――――このとき息を呑んだのは、他でもない。
「俺らは互いに自分の子供の動向を探ることを予測していた。別にちまちま報告してた訳じゃない。でも―――おっと逃げるなよ?藤堂くん」
「っ、」
「その中に見たこともない連中が混じっていたら、それは不思議で疑問に思う。そうだよな」
「そこで藤堂亘、君の存在を知った」
そこで一度句切られた親父の言葉。
まるで示し合わせたかのように、正体不明だと考えられていた男に視線が集中することになる。