サイドキック
「―――君のことも調べさせてもらったよ」
「……ッ」
親父が脚を繰り出すたびに、藤堂が後退する。
あくまで笑顔を貼り付けた親父は、言葉とは裏腹に穏やかな雰囲気ばかりを振りまいている。
「君の経歴、交友関係、まあ平たく言えば」
「、」
「君のこと全てをね」
しかしながら、それが逆に藤堂の恐怖を煽っているように見えて仕方ない。
段々と藤堂との距離を詰めていく親父を、結城社長は特に顔色を変えることもなく見つめていた。
まるでこの親父の姿を、見慣れているとでも言うふうに。
―――――でも、
「君は智と親友だったはずだ。それがどうして殺人に繋がる?そんなに憎かったのか、あの子が」
親父がおとしたその言葉に、この場の全員―――否、結城社長を除く全員が息を呑んだのが分かった。
まるで予想しなかったこと。
しかしながら、そう言われてみれば。
"―――……ッ、お前まさかサトルから――"
あの発言は、兄貴と相当親しくなければ出てこない筈のものだ。
兄貴は、銃マニアであることを表面付き合いの奴にまで言いふらすような男じゃなかった。
知っているということは、イコールで深い付き合いのある奴だったと。
そういうことか。