サイドキック
「俺らもヤラレっぱなしじゃ面目が立たねぇんだよ」
「…………」
「だんまりか。まあそれもいいだろ」
粛々と地面に転がるモノを拾い上げた男たちは、狂気染みた瞳を細めて私を取り囲む。
彼らが手にするのは鉄パイプや金属バット、メリケンサック。
いつの間にか数十人にも膨れ上がっていた男たちを軽く見渡してから、右肩をまわして凝りを解した。
「さぁ、お楽しみといこうじゃねぇか」
相手の頭らしき人物がそう言うや否や、飛び掛かってくる人間を相手にするべく腰を落とす。
――――――――――――…
口の中に出来た血塊を吐き出し、返り血によって染められたパーカーの裾で口許を乱暴に拭う。
地面に転がる無数の男たちを避けることもせずに踏み付けながら歩を進める傍ら、振動によって外れてしまったフードを被ろうと腕を持ち上げたのだけれど。
「おーおー、派手にやってんじゃねぇか」