サイドキック
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"もう決めたからな!テメェが了承するまで俺は戻らねぇ、家出してやる!"
"ハッ、勝手にすればいいだろ"
"言ったな!?じゃあ俺がそこらでナンパして適当な女と寝ても文句ねぇんだな!?"
"は!?なんでそうなる――"
"もうユウキなんか知らねぇ!絶交だクソ野郎!!"
はぁ、と。
止め処無く口を衝いて出る溜め息を隠そうともせずに歩を進めた。
本気なのだろうか。
それにしても絶交って言葉は今の私たちにはそぐわない気がするけれど、そこに突っ込むのはやめたほうがいいのだろうか。
"適当な女と寝ても―――"
文句あるに決まってるだろ、馬鹿野郎が。
私にも非があったことは認める。
けれど、正直まだ心が追い付かないのが事実で。
それを素直に打ち明けられれば良いのだけれど、相手はあのヒロヤだ。代名詞がチャラ男だ。
大人しく待ってくれる気がしない。
「………、どうしよ――」
「あれ、香弥!?」
突然耳に入ったソプラノの声音にハッと息を呑む。
勢いもそのままにぐるんと振り向けば、予想した通りに大学で仲の良かった友人が視界に映り込んだ。