サイドキック
「きゃーヤバい!!香弥ちょー久しぶりじゃんっ!」
「私も驚いたよ。元気だった?」
「元気元気!あ、てか今からなんか用事?」
「?特に、」
「じゃあ決まりね!」
豪快に笑ってみせた彼女は学内の私と一番距離が近かった友人だ。
そんな彼女のにやり、と。企むような笑みを目の当たりにし、思わず瞬きを繰り返した私。
「今からあの二人に連絡するから、久々に女子会しよー!!」
「え?でもなんか用事とか……」
「ないない!絶対無いから!いつも暇だって言ってるもん!」
「(いや仕事とかさぁ…、)」
思わず呆れたような色を混ぜて彼女を見つめ返した私だったけれど、そんな此方の様子を一瞥した彼女はウインク混じりの高めの声音で。
「香弥と会えるって聞いたら飛んででも来るって!」
「――……、……」
「なになに?香弥ちゃん感動しちゃってる――」
「うるさい!!」
「あー照れてるっ!」
こうやって彼女らと会うのも、あの事件を経由して父と和解していなければ成し得なかったこと。
その点ではやっぱり感謝するべき相手はヒロヤな訳で。
少なからずあいつを傷付けてしまったと思うと、チクリと胸を針で刺されたような気がした。