サイドキック
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「香弥ぁあああっ!」
「久しぶり過ぎて泣けるんだけどー!なんで連絡くれないの!?」
あれから三十分も経っただろうか。
一番初めに顔を合わせた友人が、私と一緒に地元の居酒屋に入った旨を伝えてから。
カランカラン、と可愛らしくも陳腐な店のベルが響いたと思えば、開口一番に叫号を上げて抱きついてきた友人ふたり相手に目を瞬く。
「ご、ごめんね……」
「もうこれから会えないのかと思ったんだよ!?心配料としてタコワサ奢って」
「はぁ!?関係なくな――」
「すみませぇーん!タコワサと枝豆と生四つ!出来れば早めに!」
「はいよ!」
尚もぎゅうぎゅうと締め付けてくる彼女らの腕の隙間を縫うように顔を上げると、丁度通り掛かった店員さんに手を上げて注文する友人の姿が。
威勢のいい声で返答をする男性を見て「い、イケメン…」と頬を赤らめる彼女。
そんな姿を目にして思わず吹き出してしまった。
どうにもこうにも、懐かしさが込み上げてしまって。