サイドキック
「てか香弥が生きてたことに安心したんだけど!」
「んな大袈裟な、」
「大げさにもなるって!!」
急にバッと距離を隔てた彼女に目を瞬いた。
そんな私を見て、最初は眉根を寄せていた彼女の顔が段々と明るいものに戻っていく。
「ううん、いいや別に。また会えたから」
「そうだよー。連絡取れなくなった私らの身にもなってよ」
「心配しないってほうが無理なんじゃないの?」
「み、みんな……」
つん、とする鼻と熱くなる目頭は気の所為なんかじゃなくて。
それを隠そうと目を伏せて顔を俯ける私を、彼女たちは優しげな面持ちで見つめていてくれた。
ヒロヤと私の結婚が大きく報道されてから、自分自身も気付かない内に彼女たちと距離を取ってしまう私が居たのかもしれない。
別に強制された訳じゃない。
ただ、恐かった。離れていくんじゃないかって。
そうじゃ無かったとしても今までとは違った態度で向かわれたらどうしようなんて、らしくもなくくよくよと悩んだりもした。