サイドキック
私にとってこの子たちは、初めて出来た"女友だち"と言っても過言では無いから。
「今日はとことん飲むぞー!乾杯!!」
「「かんぱーい!!」」
たまにはこんな会もいいかな、なんて。
そんなことを思いながらも、このときの私は満面の笑みで受け取ったグラスを傾けていた。
―――――――――――…
赤らんだ頬が熱い。
しかしながらそれに勝るほど彼女らの熱気が、甚だしい。
「―――で、香弥」
「…はい……」
「ヤったのよね。ついにヤったのね?」
「は?」
四人掛けのテーブルを囲うように腰を下ろした私たち。
しかしながら、そんな机上すらも邪魔だと言わんばかりに顔を近づけた女四人の至近距離具合と言ったら。
「あの……なにが?」
先刻あんなにも胸を打った感動は、いずこへ。
思わずそんな言葉を吐き出したくなるくらいの迫力。
折角綺麗で華奢であるのに、残念ながら今の彼女らから女子力のようなものは感じられない。
「なにって、あんたそりゃひとつしかないでしょ!」
「本気で言ってんの!?」
「てか香弥のカレって大学に迎えに来てたイケメンだよね!?」
まさに三者三様。それぞれが鼻息荒く言葉にする声音も馬鹿みたいにデカい。
ほぼ同時に吐きだされた言葉全てに私が答えられる訳、ないだろうに。