サイドキック
―――――――――――…
"瞬殺"
まさにその言葉で合点がいく。
「おい、しっかりしろ」
「………」
「こりゃ駄目だな」
ぐったりと横たわった男を抱え上げてそう声を掛けるものの、ピクリとも動かない。
背中にそいつを抱えた俺は早足でその場を脱すると直ぐに横付けしていた車に乗り込んだ。
「ったく、無茶しやがる」
視線を伸ばして捉えた先に居るのは例の二人組。
先代から引き継いで間も無い彼らに対する反発も多少あったことは事実だった。
そんな最中に起こった今回の事件。
要求された人数を率いて行ったからといって此方に分があるかと言うとそういう訳でも無いことは一目瞭然で。
「―――ハナっから嵌められてたワケだ」
敵に周りを囲まれている奴らが怏々と拳を振るう姿を見詰めたまま、抜き出した煙草に橙を灯した。