サイドキック
地団駄を踏みそうな勢いでそう言葉にする彼女にぎょっと眼を見開いた。
助けを求めるように他二人に視線を向けるものの、まるで同意するかの如く縦に首を振っていて。
「………、……」
思わず引き攣った頬は必然だと信じたい。
女子、恐い。
と、そのとき。
「―――、」
「あれ、その着信って香弥じゃない?」
「……うん」
鞄の奥底に忍ばせておいたスマホが音を立てて私を呼ぶ。
突き刺さるような視線が「誰からよ」と答えを促しているようで恐ろしい。
誰にも見られないよう、こっそりと着信元を確認した私はと言うと。
「――――…、……!!」
瞬時に早鐘を打つ鼓動と、動揺が見て取れる表情。
なんで、なんでなんでなんで。
「香弥誰からー?どっか行くの?」
「………っ、」
「いいっていいって、隠さなくても分かってるから」
「ふふ、好きなだけ楽しんでおいでー」
にやにやと破顔させて此方を覗き込んでくる三方を眉根を寄せて睨み付ける。
さっきまで、男はどうとか言ってたくせに!