サイドキック
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"へぇ、ユウキお前学生やってんの"
"あ、おい!ヒトの学生証勝手に見んじゃねぇよ"
"偶然だな。俺も大学行ってんだよ"
"あっそ"
"素気ねぇー、悲しいわな。つうか今度そっちに遊びに行くわ"
ヒロヤと再会してから一週間足らず。
あの日交わした会話で埋もれた奴の台詞は、その場だけのものだと思っていたから。
まさか、まさか本当に来るなんて。私は予測すらしていなかった。
「ちょっと香弥、やばいやばい!なんか超絶イケメンがいる!!やばい!!」
「どうでもいいから早く出ようよ。今日新しく出来たケーキ屋さん行くんじゃないの」
「あんたのそのオトコに対する興味の薄さ何とかなんないの!?」
呆れ返った友人の視線を浴びながらも私は眉根を寄せるのみ。
そんなことを言われても。
一様に黄色い声を出し始めた友人三名を白い眼で見詰めつつ、いつになったら行けるんだと溜め息を零したくなった。