サイドキック
「――――4年に上がったのと同時に」
兄貴よりも、半年以上も早く。
腹を括った。後戻りは出来ない―――否、しようとも思わない。
タ
イ
ム
リ
ミ
ッ
ト
の
所
以
「―――……そろそろ、か」
ユウキを送り届けたあと。
無理矢理彼女に渡していたメットを被った俺は、向かい風に小さな声を紛れ込ませた。
モノトーン調のメットから微かに鼻腔を掠める甘く爽やかな香りは酷く落ち着く。
少し前までこれと同じ香りを纏っていた彼女が乗っていた後部座席が、やけに寂寞さを醸し出していて。
ユウキと再会して僅か。
タイムリミットは、着々と迫り来る。