サイドキック







―――――――――――…



あれから暫くして。

延々と続く友人の話を半ば放心しながら聞いていた私は、不意に鼓膜を叩いた音にハッとして顔を上げた。




小さくは無いその音は周りの女の子たちの耳にも届いたようで。





「はいはーい、待ってましたどうぞ!」








ドアに一番近い位置の椅子に腰を下ろしていた女の子が意気揚々とそんな言葉を口にすると、決して厚くは無い仕切りで覆われていたそこは解放感に包まれた。

開いたドアと、感じる複数の視線。

勿論それは私だけでは無くこの場に居る女子全体に向けられたもので。




「お待たせしましたー、こんばんは」









にこりと微笑みを浮かべてそんな言葉を落とした男の人を筆頭に、複数の人間が視界に映り込んでいく。

それを何の色も浮かばない表情で見詰めていた私なのだが。

一番最後に仕切りを潜った人物を見付けると、そんな表情は一気に崩れ去ってしまった。




「――――は……?」









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