結城くんにやきもちを妬かせるには
よし!と両方のほっぺを叩いて気合を入れ、チョコの入っている袋を手にする。
ちゃんと気持ちを伝えてこのチョコを渡そう。
ごめんねって伝えておめでとうって言おう。
なんて考えながら歩いていると、目の前に見慣れた後ろ姿が見えた。
「ゆ、結城くん!」
少し大きな声で大好きな人の名前を呼ぶが、どんどん先を歩いて行ってしまう。
嫌だ…
嫌だ…嫌だ…嫌だ!
「結城くん!ま、待って」
前を歩く結城くんを走って追いかけようとした時…
「わぁっ…!」
何かある訳でもないのに、躓いて思いっきり転んでしまった。
同時にチョコが床に叩き落とされる。
私って…いつもこうだ。
何をやっても上手くいかない…。
本当、だめだなぁ。
床に正座をし、無惨に床に転がって箱が潰れてしまったチョコを膝の上に置く。