結城くんにやきもちを妬かせるには
こんなの、いくらなんでもあげられない。
誕生日プレゼントもバレンタインのチョコもあげられない彼女なんて…彼女失格だ。
堪えていた涙がこぼれ落ちそうになった時、ふわっといい香りに包まれ…誰かに抱きしめられた。
顔を見なくてもわかる。
私の大好きな匂い…。
「ヒクッ…ゆ、結城くん?どうして…」
「どうしてって呼んだでしょ?」
「…よ、呼んだけど」
さっきはあんなに呼んだのに振り向いてくれなかったのに…。
「ごめん。なんかむかついたからイジワルしちゃった。でも、泣くとかずるい。そんなのいくら俺でも置いていけないから」
どこかまだ怒っているような声…。
でも、そんな声とは裏腹に優しく抱きしめて頭を撫でてくれる。
「むかついたって、私がお誕生日忘れちゃったから?」