再会したイケメン幼なじみは、私を捕らえて離さない。
「や…やだなぁ。大げさ」


胸を押し返すと、今度は顔を覗き込んでくる。


「そうか?本当に嬉しいからな…真凛ともう会えないって思ってたから…」


そうなんだ?


「それが、ピンとこないんだよね。何度か話してるけど、ここでの記憶がほとんどなくて」


すると涼真くんの表情が切なそうなものに変わる。


「そのことだけど…無理に思い出さなくていいから」


「よっぽど記憶力悪いと思われてる?」


「そうじゃない」


「だったらなに?」


黙ってしまうから、自然と見つめ合うことに。


なにか話さなきゃって思うけど、なにも浮かばない。


そんなに見ないで欲しい…。


だけどあたしも、視線を逸らせずにいる。


困ったな、どうしよう…。


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