再会したイケメン幼なじみは、私を捕らえて離さない。
黙っていると不意に抱き寄せられた。


「くっついて歩けよ」


「ええっ、やめて!」


「面倒くせーの。いちいち助けるの」


「放っておいてって言ってるよね?」


「放っとけねーもん。俺って優しいから」


「自分で言う?」


「真凜が言ってくれないからな」


お互い不貞腐れつつも、なんだか嬉しい。


この感じ…悪くない。


ううんっ、そんなこと思ってる場合じゃないよね。


涼真くんは女の子ならきっと誰にでも優しい。


そうだよ…。


「ありがと、そんなに心配しなくていいから。それより自分の心配したら?ひったくりをやっつけた時、何発か殴られたんだよね…もう平気なの?」


「ああ、別になんとも」


それにしても、そんなときによく体が動くよね?


あたしなら…怖くて動けない。


実際にそんな場面に出くわして失神したからね…。


なんとも情けない話。


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