見えない世界でみつけたもの
「雄太、起きてる?」
「あぁ……静か。起きてるぞ」

 声が聞こえる。

 この声は静だな。

「雄太……髪ボサボサだよ」
「マジで? あちゃー」

 静の声が聞こえる。

 笑い声が上から聞こえてくる。

 頭に何かが触れた。

 優しく撫でるように俺の頭を触るこの感触は、静の手だろう。

 だが、俺にはそれが見えない。

 声の主が誰で、どんな顔かは知っている。

 俺の幼なじみで静。

 それでも俺には顔は見えない。


――今の俺は視力を失っている。
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