見えない世界でみつけたもの
「雄太、ご飯食べる?」
「ああ……食べるよ」

 俺には両親がいる。でも共働きで朝からバタバタして、もう出勤している。

 ご飯は用意してくれているので問題はないんだけど……。

「今日のは……多分まともだと思う」
「今えらく、間があったな」

 静から返答がない。多分、苦笑してるのだろう。

 あの親共は俺の目が見えない事をいい事に、無茶苦茶な料理を用意して行く癖がある。

 見た目が普通だから、静でも見分けられない代物で、以前食べたときに悶絶していたのを覚えている。

 見えなくても、声がそれを物語っていた。

 しかし……普通なら息子の心配をするだろうが、俺の両親はまったく昔と変わらず接してくる。それが俺には嬉しかった。特別扱いしない両親に俺は感謝している。

「それじゃ、食べるか」
「そうね」

 俺達は朝ご飯を食べ始めた。

 今日は取り合えず問題ないみたいだ。しかし、食べるのは大変だ。

 静に食べさてももらうのは恥ずかしいがこの際仕方ない。自分で箸が使えればいいが、実際は無理に近い。

 箸が持てたとしても、ご飯やおかずの場所が分からないのだから食べようがないってものだ。


 その後、朝ご飯を食べ終わって俺達は学校に行く事になった。
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