ある男の身の上話
ああ、泣かないで。もう随分昔のことだから、
…君はやさしいね。こんな私の為に泣いてくれるなんて。ほら、このハンカチで涙を拭いて。折角の可愛い顔が曇るのは嫌だな。
…そろそろ家に帰る気になった?そっか、うん。早く帰った方がいいよ。私でよければ家まで送るよ。え?お礼がしたいって?そうだね……。実は君に頼みがあるんだ。君のソレ、少し私に分けてくれないかい?珍しく私が食べられるモノがあるからね。
いいのかい?遠慮せずに全部食べていい?
ありがとう!それじゃあ……。
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