おやすみはまだ言わないで
しばらくして伊織と優太が来て、事情を説明してくれた。

頭が真っ白になって、その場に立ってるのが精一杯。

「心臓は動いてるけど、脳へのダメージが大きかったらしい」

医療知識なんてない私は不安でしかたなかった。

いつか起きるんだよね?

そう繰り返した。

それでも伊織が言うには、大地の力を信じようってだけ。

私は言って欲しかった。

今は眠ってるだけでもうすぐ起きるよって。

信じる信じないとかそういうんじゃなくて、明確な答えが欲しかった。

でも何回聞いても伊織はそう言うだけで、

優太はずっと泣くばかり。

「優太なんで泣いてるの?大地は起きるんじゃないの?」

私がそう言った後、優太が言った。

「可能性は低いんだ」

その瞬間、手先まで痺れてきて、立っていられなくなった。

大地なにしてるの。

今週のデートは?来月の旅行は?あなたの夢は?

そのあとは優太に家まで送ってもらって、1人になりたくないだろうからとその夜は伊織が泊まってくれた。

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