おやすみはまだ言わないで

大地が目を覚まさないまま一週間。

わたしはただ、職場と病院の往復で、

就職してからずっと大地と同居していたから、

一人で眠るのがすごく寂しくて。

病院に行ったらまた現実が押し寄せて、

携帯を開くと大地とわたしの共通の友人からの連絡が絶えなくて。

わかってる。

みんな励ましてくれてる。

わたしと大地を思って声をかけてくれるのわかってる。

どんなに気分を晴らしてくれようとしてもらったって、

わたしは病院に大地の荷物を届けに行かなきゃいけないし、

大地の職場からの連絡に答えなきゃいけない。

無理なんだよ、前を向くなんて。

小さい頃からわたしを支えてくれた人が、

わたしのことを理解してくれた人が、

わたしに愛を教えてくれた人が、

わたしの元から去ろうとしてる。

疲れ切った体がだるくて、また今日も一人じゃ大きく感じるベッドに沈み込んだ。

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