君が幸せなら、それでいい。
アイスを食べ終え、僕達は家への帰路を進んでいた。

「いやー、お腹いっぱい!」

僕のリュックを軽く握っている凛が満足そうに言った。

「また行こうね。」

「絶対だからねー!?約束!」

凛が小指を出してきたので、僕の小指も絡める。
凛が指切りげんまんをしている間、僕は肝試しのことを思い出していた。
きっと明日には葵が早く肝試しに行こうと誘ってくるに違いない。
いくら怖くない僕でも、流石にふたりで行ってはあまり面白くないと思った。
肝試しが好きそうな誘える人…。
僕は少しだけ遠くを見つめる。

「優ちゃん?聞こえてる?」

凛が心配そうに声をかけてきた。

「ああごめん。考え事してた。」

「そっかー。」

僕は思い切って凛聞いてみることにした。

「そうだ!凛!肝試しとか興味ない?」

丁度いいところに、好奇心旺盛な女の子がいたものだ。
たしか、凛は幽霊とか大丈夫だったはずだ。

「肝試し?行きたい行きたい!!」

僕の予想通り、凛は肝試しに興味を持ってくれた。

「じゃあまた明日詳しく話すね。」

歩いているうちに、もう随分と凛の家の近くに来ていたようだ。
凛の家の前で止まる。

「うん!わかった!」

少しだけ立ち話をしていると、凛はクシャミをした。

「やっぱり風邪ひいたんじゃない?」

「そんなことないよー!」

「そろそろ寒くなってきたし、本当に気をつけなよ?」

「もー分かってるってー。心配しすぎ!ほら、優ちゃんが風邪ひいちゃうよ!?」

凛は早く帰りなさいと言わんばかりに、僕の背中をグイグイと押してきた。

「わかったって。また明日ね。」

僕はまたね、と声をかけて歩き出す。
凛は僕が見えなくなるまで、手を振り続けていた。
< 11 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop