君が幸せなら、それでいい。
「それで瀬谷さんを誘っておいて欲しいんだけど…って聞いてる?凛。」

凛に話しかけるも、凛はどこか遠くを見ていて僕の声は聞こえてはいないようだった。
僕は自転車を走らせながら、凛の目の前で、手を左右に振った。
凛は、はっとしたように僕の方を見た。

「あっごめんごめん!ぼーっとしてた。」

「大丈夫?あんまり顔色よくないよ。」

「平気だって!それよりもなんだっけ?」

平気という凛だが、やっぱり顔色はあまり良くない。
それに最近くしゃみも良くしているし、本当に風邪をひいているのかもしれない。
それでも、凛が平気というのだからあまり深くは問い詰めないでおこうと思い、さっきの話の続きをした。

「今週の土曜日に肝試しはどう?ってはなし。」

「空いてるよ!あと涼花誘うんでしょ?」

「そうそう。宜しくね。」

「はぁーい。涼花来てくれるかなあ。」

全く返事だけはいいんだから、と言いたくなったが、自分の楽しみな事なら流石に忘れないだろう。
僕はいつも通り、学校への坂を一生懸命こぎだした。
後ろから、小さなため息が聞こえた気がした。
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