君が幸せなら、それでいい。
目覚まし時計が大きく鳴り響く。部屋中に響くそれは、僕の睡眠をも酷く邪魔をしてくる。
それもそうか。目覚まし時計とは目を覚ますためのものなんだから、起こして当然だ。
なんて、まだ半分も覚醒していない頭で考えながら、僕は目覚まし時計のボタンを押した。
今日は夜から肝試し、という予定が入っているが、それ以外は特に用事はない。それに集合も5時だったから、時間にはまだ余裕がある。
僕は9時を指す時計を見ながら、軽く伸びをした。
そうだ、溜まっていた本を読もう。それに漫画だって読んでいないものがあったはずだ。
本棚のそばまで行って、本を選んでいると、ベッドのそばで充電器に挿したままのスマホから通知音が鳴った。
誰からだろうか。
僕は本を選ぶのをやめて、スマホの画面を見る。そこには凛、と表示されていた。
ベッドに腰掛け、そのままスマホをトーク画面まで開く。
凛からは、『付き合ってほしい所がある』という文字と、お願いしますと言っている猫のスタンプが送られてきていた。

仕方ない、今日本を読むのは諦めよう。
断ると後々めんどくさそうなので、僕はOKというスタンプを送って、服を棚から選ぶ。
それに、なんだか心配だった。最近の凛はあまり体調が良くなさそうだし、なんだか元気すぎて空回りしているように見えた。
悩みがあるなら今日聞いてあげよう。

服を着替え終わると僕はもう一度スマホを確認した。

凛「10時30分に駅の改札集合ね!!」

凛からのLINEに返信をしながら、残りの時間は漫画アプリで時間を潰すことにした。
< 16 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop