君が幸せなら、それでいい。
「優ちゃんってば!」

途端に僕を叫ぶ凛の声が今まで以上にしっかり聞こえた。僕はハッとなって目を開ける。今までのはすべて夢だったみたいだ。
自分の呼吸がひどく荒れているのに気づく。こんな悪夢を見れば、魘されるのも当然か。

「ごめん、凛。寝ちゃってた。」

「んーん。でも全然起きないからびっくりしちゃったよ。それに魘されてたから。大丈夫?」

「平気だよ。幽霊に追いかけられる夢を見ただけ。これから肝試しだしちょっとビビってるのかな。」

優ちゃんって意外との怖がりだったんだね、と言って笑う凛を見て僕も笑う。
少し不安そうな顔をしていた凛がホッとしたように見えた。
本当の夢の内容は、凛にはとてもじゃないけど言えなかった。言ったら、本当に消えてしまいそうで。
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