君が幸せなら、それでいい。
遊園地は人で溢れかえっていて、どのアトラクションもすごい列で並んでいた。
今からこの列に並ぶと思うと、正直寒気がする。でもこれも凛のためだ。
僕が1人感傷に浸っている間、凛は隣でどれに乗ろうかと、地図を見ていた。

「凛、何から乗るの?」

「そりゃ、そのシャキッとしない顔を叩き治すためにジェットコースターだよ!」

ジェットコースターという単語に僕の頬を冷や汗が伝う。

「り、凛。ジェットコースターは止めとかない?」

しかし、僕の言葉は凛には届いていないようで、どのジェットコースターに乗るか必死になって考えている。自分がジェットコースターに乗りたいだけだろ、とは言えず。渋々凛のあとを付いていく。

5分ほど歩いて、凛はひとつのアトラクションの前で止まった。
その列は今まで見た中で1番長い。きっと1時間以上は待たされるだろう。
それに問題はジェットコースターの方にある。落ちるところって言うのは普通斜めになっているはずだ。なのにこのジェットコースターは垂直だ。ほぼ真下に落ちている。しかもそれがいくつもあって、とてもじゃないけど気が持ちそうにない。
さらに問題なのはラストの一回転だ。

僕はお昼ご飯がまだな事に感謝した。
こんなものに乗る前に食べていたら、汚い話戻していただろう。

「優ちゃん!並ぶよ!」

凛は楽しみで仕方ないのか、スキップしながらアトラクションの最後尾へ向かっていった。僕も駆け足でその後を追う。
なんだか気持ち悪いのは、きっと気のせいだ。
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