君が幸せなら、それでいい。
「ありえない!本当にありえない!」

思わず高まってしまった感情を凛にぶつける。

「なんで?すっごい面白かった!」

「いやいや、死ぬかと思ったよ!とくに落ちた瞬間。お腹のところヒュッてなるの分かる?死んじゃうよ!」

「違うよ優ちゃん!それが楽しいんだよ~!」

ケラケラと腹を抱えて笑う凛に僕は精一杯対抗する。あんなの人が乗るもんじゃない。
でも凛にとってはあれが楽しくて仕方ないみたいだ。
ここだけは僕は凛の気持ちを理解できない。

「もう!仕方ないな~。じゃあ次はシューティングゲームにしといてあげる!」

凛は目の前のアトラクションに人差し指を指した。きっとこれに乗りたいと言う意味だろう。
いや、確かにジェットコースターよりは断然こちらの方がいいに決まっている。
でもだ、わざわざシューティングゲームにお化け屋敷を合体させることはないだろう。

「り、凛…。これから肝試し行くんだし違うシューティングゲームにしない…?」

別に怖いわけじゃない。第一肝試しだって全く怖くない。
断じて怖いわけじゃない。

「私知ってるんだ!優ちゃんはびっくりするアトラクションが苦手だ、ってね!」

僕はこめかみを抑える。いったいどこでバレていたのだろうか。
しかし、こうなってしまえば凛は止められない。

「分かった。乗るよ。」

「やったあー!!これで優ちゃんの驚く顔も見れる~!」

目的は僕の驚く顔だったのか。なんて気づいた時にはもう遅く。
僕は凛に手を引かれ列に並んでいた。
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