君が幸せなら、それでいい。
凛の家の前まで来ると、いつも通り自転車から降りてインターホンを鳴らす。

高校まで、家がそれなりに近い凛と僕は、自転車で一緒に登校している。
一緒にと言っても凛が後ろに乗る感じだ。
高校生になってからの1ヶ月間、それは休むことなく続けられている。

たまたま同じだった志望校。それに気づいた僕達は、進路相談室の前でクスクスと笑ったのを今でも覚えている。
その頃進路希望室の中では他の生徒が進路を相談していて、校長先生が出てきて静かにしなさい、と呆れられながら怒られたのも今となってはいい思い出だ。

高校ではたまたまクラスも同じだった。
でも僕達の中は『仲の良い親友』
別にお互いそれでいいと思っているし、この生活にも慣れ始めた頃だった。

「おはよう、優ちゃん!」

「凛。遅い。」

10分も待たされた僕はやれやれとため息をつく。これは朝のお決まりだ。

「女の子は何かと忙しいの!」

決まり顔で僕の方を見つめてくるが、これと言って返す言葉もないので僕は無視して自転車に乗る。

もう何度目か分からない凛との登校が今日も始まった。
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