君が幸せなら、それでいい。
見えてきた学校を前に、凛が小さくくしゃみをする。
女の子らしい静かなくしゃみには凛の元気ありあまる面影は感じられない。

「凛、風邪でもひいた?」

僕は心配になり、一度自転車を止めて凛の顔を覗く。

「んー、そうなのかなあ…くしゅん!」

僕の顔にまで鼻水が飛んできたのは言うまでもない。
僕は少しふざけた口調で凛をからかう。

「あれ?バカは風邪ひかないんじゃなかったっけ?」

「もーうるさいなあ!風邪じゃないってー!」

ふてくされた凛は自転車のタイヤをガシガシと蹴った。
軽く音を立てて揺れる自転車を見て、この自転車もそろそろ変え時かな、なんて考えながら僕達は校門をくぐった。
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