自称プレイボーイと絡まる私






「あーあ、やーっと終わったあ」

「やれやれ、みたいに言ってるけど掃除するハメになったの海野君のせいだからね?
そこんとこわかってる?」

「わかってるって」

ごめんごめん、とへらへら謝る海野くんを一睨みして白くなる息に目を移した。

5時半だというのにもうこんなに暗くて寒い。
冬ってまだ覚悟も準備もしていないのにやってきてしまうから苦手だ。



見るからに軽そうな鞄をぶらぶらさせて私の少し前を歩く海野君をみつめる。
少し目を離すと消えてなくなってしまいそうな危うさがあって、なんだか目が離せなかった。


「菅原さーん」
「ん?」
「なんでもない」
「…なんじゃそりゃ」

あはは、と笑う海野君の声が何となく元気ない気がした。
しんと澄んだ夜の空気がどこまでも続いて、このまま家に着かないんじゃないかなんて思う。
このままずっと、ずっと海野くんのそばで歩けるんじゃないかなんて思ってしまう。


「海野君」
「んー?」


このままずっとそばに、


「好き」




「…え、」






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