自称プレイボーイと絡まる私
補修をやっとのことで終わらせて、ぼんやりする頭を無理やり起こす。
だらだらと帰る準備をして廊下を出てふと目に入ったのは、廊下の一番端にある小さな部屋。
海野君と掃除をした書庫だった。
なんとなく脚が書庫の方に向いて、ふらふらと書庫の前に立った。
そっと引き戸を開けると鍵はしまっておらずあっさりと開いた。
今日はもちろんストーブなんてついていないのでひんやりしている室内へ入ると、海野君が適当になおしたはたきも私が整理した書類もそのままで。
あの時は海野君が横にいたのになあ、
なんで泣きそうな顔してたのかな、
あんなこと言わなきゃよかったなあ、
なんて。
ぼんやりと佇んだまま取り留めもないことを頭に浮かべた。
下校のチャイムが鳴る。
今日が、おわる。
海野君のいない今日がまたおわっていく。
「菅原さん」
小さく声が聞こえた気がした。
「菅原さん」
やっぱり聞こえた声に迷子の子どものように書庫をさまよう。
「海野君…?」
そっとしゃがんで古びた教卓の下をのぞくと、
身体を小さく丸めた海野君がいた。