自称プレイボーイと絡まる私
「海野君…」
「うん」
「猫みたいだね」
「ん?」
「こんなせまいとこ隠れて。」
「狭いとこ好きなんだよ、なんか安心しない?」
菅原さんもこっち、と促されて海野君にならって私も教卓の下に腰をおろす。
教卓の影で見る海野君はいつもよりちいさくて、透けてしまいそうに白かった。
どうして学校に来なくなったの、
どうしてあの時あんな顔したの、
なんで今ここにいるの、
だれか待っていたの?
全部聞いてしまいたかった。
私の言いたいことがまるですべて分かっているような顔で、海野君は笑った。
それから冷えた指先をあたためるように息を吹きかけて、おもむろに口を開いた。
「俺ほんとにバカだからさあ、
言われて初めて気づいちゃったんだよ」
「…え?
ごめん何の話…」
「菅原さんさあ前俺に言ったじゃん?なんで来るもの拒まずなのって」
「うん…」
「誰でも良かったんだよ、俺もう時間ないって思ってたし
俺の事必要としてくれてる人がいるならいっか、って思って
やれること全部やっちゃえって」
「時間が、ないって…どういうこと?」
手が無意識に震えた。
不意に私よりも冷えた指先に手を取られ、
気が付けば前髪と前髪が触れてしまいそうな距離に目の端を赤くした海野君の顔があった。