自称プレイボーイと絡まる私
私も真似してぎこちなく、海野君の頰に指を滑らせてみた。
乾いた頰はするりと滑って、指が落ちる。
落ちた指に気を取られたそのほんの一瞬、
閉じられた目と、そっと触れた唇。
ゆっくりと離れた海野君は私の顔をじっと見てふっと笑った。
「菅原さんおれのこと好き?」
耳元で囁かれた声に小さく頷く。
自分から聞いておいて困ったように笑う海野君を見ていると
またじわりと視界が滲んだ。
誰も見てない、誰も知らない。
私たちしか知らない、今日のことは
もしかしたら夢なんじゃないかって思ってしまう。
だけど確かに居た。
海野君は書庫で、私のことを待っていた。