自称プレイボーイと絡まる私











汗ばんだ肌にシャツが貼りつく。
夏真っ盛りの今、仕方ないこととは言え蝉がやかましい、暑い、だるい。

額に滲む汗を拭いながら必死にペダルを漕げば、やっと見えてきた目的地。


「懐かしいなあ…」


卒業以来の高校。
あれからもう3年も経ったのか、と感慨深い気持ちになる。


"菅原さんより英語とかは点数いいと思うけど?"

得意げな小生意気な顔を思い出してふっと笑いが溢れる。



どうよ、海野君。
私はあなたより不得意な英語を克服して、教師になるため実習に来てるんですけど?

高校生のまま止まっている海野君へ呟いた。




先生方に挨拶をして、少しだけ校舎を散歩して回る。

教室の黒板がホワイトボードになっていたり、体育館が少し綺麗になっていたり。

月日が経ったことを少し感じさせられて寂しかったけど、懐かしい面影が残る学校に思わず目を細めた。



誰もいない廊下を歩いて、ある場所で私の脚は止まる。



泣きそうな顔をした海野君も、

"もう長くないって言ったらどうする?"

困った顔で笑った海野君も。


全部思い出してしまう。

3年も経ってるのに私、一途すぎる。
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