自称プレイボーイと絡まる私
そっとドアに手をかける。
鍵は前と同じでかけられていなかった。
どうにかして海野君の大切な人になりたくて
どうにかして海野君の視界に入りたくて。
でも、それは出来なかった。
そっと開けたドアの先には、
真夏の日差しを避けるようにカーテンが引かれている。
震える脚であの時のままある教卓の下をしゃがみ込んでみるけど、
もちろん海野君は居るわけなくて。
期待していた自分に少し笑った。
「菅原さん」
ふと、目の前に影が落ちた。
以前聞いた声より少し低いその声に、
ゆっくりと振り向く。
「海野、くん」
「さすがにもう俺教卓の下は潜れないよ」
そう言って、最後に見た時より日に焼けた、少し大人びた顔でへらりと笑った。