自称プレイボーイと絡まる私
「…今回は何事?」
「やっぱ目立つ?これ」
そういって困ったように笑う海野君の頬にはこれまた見事な引っ掻き傷。
生傷が絶えない彼の白い肌は、治った傷の跡がちらほら見える。
せっかくきれいな肌なのにもったいない。
「海野君これ以上そんなことしてたらいつか刺されるかもよ」
「え、やだ。俺死にたくない」
そう言って泣き真似をした海野君はことの重大さが分かっていないようで。
ほんとに刺されてしまいそうだな、とぼんやり思った。
「海野君ほんとバカだね。」
「え、菅原さんよりは英語の点数とかいいと思うけど?」
「………」
ほっぺに真一文字の傷をつけて嬉しそうに飴の袋を開ける海野くんは、いかにも純粋な男子高生です、という感じで。
だけど絶賛16股中の超クズ男で。
そのギャップにめまいがする。
「菅原さんも飴いる?」
差し出された飴を、彼の手ごと包むようにして受け取る。
少しだけ海野君の手がぎくりと震えた気がした。
一瞬触った手はひんやりしていた。
海野君は冷え性なのかな、なんて思いながら飴を口に放り込んだ。