自称プレイボーイと絡まる私
じゃれた時の小さな子どもみたいな笑い声とか、
目を細めて陽の光をいっぱいに浴びる横顔とか、
意外と長い睫毛を伏せて携帯をいじっている顔とか。
理由はないけど好きだなあ、と思う。
退屈な授業中、肘をついていつものようにこっそりと海野君を観察していると、不意に彼が此方をふりむいた。
慌てて不自然に目をそらすけど、私の挙動不審な態度には気づかなかったのか海野君は何か一生懸命ノートに書き込んでいる。
出来上がったのか、ノートをちぎって私につきだしてきた。
大きく描かれていたのは、へたくそなイラスト。
最近禿げあがってきたと噂の日本史の先生らしき似顔絵だった。
頭が電球のように光っている。
海野君はいたずらをこっそりしかけた悪餓鬼のような顔で、声を出さず笑っている。
似顔絵のモデルである先生が怖い顔をして立っているとも知らず。
「海野くんのせいだからね」
放課後、私たちは罰として先生の書庫の掃除をしていた。
反省している様子もない海野君は掃除をする気がないらしく、はたきをぱたぱたと振っている。
そのせいでものすごい埃が舞って思わず咳き込んでしまった。
「まあまあ、そのおかげでめったに入れない書庫に潜入することができましたし?良しとしましょうや」
悪びれず笑う海野君にため息をついて、手を動かすことに専念した。