諸々ファンタジー5作品
プロローグ
いつの時代も変わらずに、場所が変わっても……貴方は優しい視線で見つめる。
そんな視線を信じる事が出来ず、私の心は揺れた。
貴方は何も知らない。
知れば、
きっと離れて行くに決まっている。
もっと時間があれば……
ちがう未来があったはず。
私は私……だよね。
過去の記憶に左右されず、願うのは……貴方も同じでしょうか?
炎雨
村を呑み込んだ燃え盛る炎。それは上空へと舞いながら、熱風を巻き起こす。
その光景で自然の力を目の当たりにし、恐れも通り越したのか、諦めや死の覚悟とは違う穏やかさに包まれた。
何もかも忘れて、この炎に身を委ねれば楽だろうか。
小さな飛び火が降り注ぐ。
炎の量は次第に増え、痛みが自分の罪を赦すような切なさ……
……炎雨…………
寒曇
4月。
温暖化の深刻な問題を抱える現代……異常気象は春の季節に豪雪をもたらした。
雪とは無縁に近い温暖な地域。
どれほどなのかと問われれば、冬の季節に風雪を5度でも見かけるのは多い方で、1時間で解けてしまう積雪も珍しい。
十センチの積雪なら十数年に一度だと報道されるような場所。
空を見上げると雪は止んで……
……寒曇…………
天性
忘れられない想いがある。
それは死を覆すほどの愛。
望んだのが間違いだったのだろうか。
降り積もるのは後悔。
目の当たりにしたのは、手に入れたと思った君の心が砕けた瞬間。
それなら……何の為に転生を繰り返す、何のための処罰だったのか。
返答を問う。
死を願う我に対する希望を踏みにじり、今はただ……君を守護する。
淡い想いを封じて…………
なおも繰り返す希死念慮。
新たな生命にも必ず死の渇望が備わる……天性…………