カスオくん
半ベソで連れて行かれたその先は体育館裏だった。
円盤投げのように乱暴に僕を放り投げると呼吸の荒いヤツは全身を掻き毟っていた。

人気の無い体育館裏で主語述語もなく
「出せ~出せ~」と繰り返し始めた永島はすでにこの世の者とは思えない姿と化していた。
恐る恐るポケットの中から魔物への貢物を差し出すと、祈りの言葉を捧げながら僕は後ろに下がった。
貢物を受け取った瞬間、魔物は訳の分からぬ雄たけびをあげていた。
魔物の雄たけびに驚いた小動物や昆虫いたる全ての生き物が僕等の周りから姿を消した。

そしてビニール袋から取り出された中身を見て僕は「ギャッ」と悲鳴を上げ心臓が口から飛び出そうになった。
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