カスオくん

高校球児

翌日から僕の脳ミソの空き容量は覗きというミッションでいっぱいになった。
最大の問題点はこのまま成長し続ければ、人工衛星からNASAにその存在を確認される日も遠くないあの巨体である。
何回脱皮すれば中学生であそこまで大きくなるのか知らんが
その巨体を誰にも見付からず、どうやって覗き専用VIPステージへ誘導するかだ。

そんな生みの苦しみ真っ最中の僕にウキウキの御主人は、
「楽園の観覧はまだかぁ~」と相変わらずの様子で催促の仕方も僕の口にコブシを突っ込み、

「もう~ 幾つ寝ると・・・」歌いながらだった。

やがて数日が過ぎ、いつまでもたっても公開日を言わない僕に浮かれ気分の御主人様もさすがにイラつき始め
顔を合わす度に”見せろ!”と要点だけを連呼するようになった。

授業中から昼休みと青年性痴呆かと疑いたくなるぐらい同じ事しか繰り返さないワイセツマンに内気な僕もついカッっとなってしまい、

「今大事なトコなんだ! 九回裏ツーアウト満塁、一打出ればサヨナラ負けしてしまうんだ! 高校球児の甘くせつないシンクロなんとかスイミングが分かってやれないの?」
と自分でも訳の分からない言い訳をしてしまった。

だが、
「そうか。そりゃ一番大事なトコだな。負けると島流しの刑だからな。
しかしダイエットには持ってこいだぜ!」
などと敵もかなりのツワモノで理解に苦しむ納得の仕方だった。

理解の仕方はどうであれこれでしばらく時間が稼げると僕は胸を撫で下ろした。
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