カスオくん
この一言で背を向けていたメデューサは一瞬で大魔神の形相に早変わりした。

「忙しい? アンタになんの用事があるのよ」

振り向きながら姉さんは僕との距離を縮めてきた。
僕は咄嗟に「用事ってその・・・ ボイストレーニングやサインの練習やらと・・・」と指折りながら呟くと容赦なく頭上に鉄拳制裁が落とされ、あまりの激痛に僕は膝から崩れ落ちてしまった。 

「さすがはメデューサ・・・ こちらに受身のスキを与えない・・・ 技といいタイミングといい絶妙だ」

などと関心している場合じゃない。
なんとかこの場を切り抜けないと決闘から逃げてしまったと誤解されてしまう。

このまま睨まれて石にされる前に逃げなくては・・・。

思考回路をフル回転させメデューサから逃れる手段を探っていると突然電話が鳴り出した。
瞬時に僕は「女神様からの救いの電話だ」と判断すると一目散に玄関へと向かい、急いで靴を履き表へと逃げた。

しかし慌てていたためオカメの靴を無理に履こうとして転んでしまい、姉さんに殴られた頭の痛みとダブルパンチで戦う前から涙目になっていた。


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