カスオくん
この瞬間、僕の守護霊であった稲中卓球部員やドラえもんは「骨は拾うから」とだけ言い残し去ってしまった。

親友のウソップにいたってはツバを吐き中指を立てながら去っていった。

いっそ僕も幽体離脱でもして一緒に逃げたかったが無理だった。
すべてが終わった。

「失礼ですがメガネをお忘れのようですけど・・・」

と優しく囁いてみたが時すでに遅しであった。

「いくぞッ カスオ! オレに挑戦した事を後悔させてやる!!!」

百獣の王ライオンは相手がたとえ兎であろうと全力で戦う。
その教えに忠実に従うように
野鼠程度の僕に奴は全力で襲い掛かってきた。

なす術も無く取り押さえられたまな板の鼠は抵抗らしき行為を行う事もなくライオンに首を決められてしまい、
その分厚い胸板の中で静かに料理されて逝った。

薄れ行く記憶の中で僕は、
これからは力には絶対に服従、
そして長いものにも素直に巻かれる、
出る釘には絶対ならない、
君子危うきには一切近寄らず・・・ 

などと心に誓いながら黄泉の国へと旅立った。



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