シュガー・ボーイを追いかけろ!
「今日陸と話したでしょ」
帰り道、だらだらと歩く私に亮太くんが言った。
とっさに言葉が出てこなくて息を飲む。
「当たり?当たりっしょ?」
そう言ってケラケラと笑う亮太くんを睨みつける。
「なんか上の空だったからそうかなーって思ったら当たりだった。俺すごくない?」
ニヤニヤと笑う亮太くんにとりあえず心の中で中指を立てる。
足の小指思い切りぶつけろ。
やっぱり私の感情はどこまでも竹内くんに振り回されているらしい。
こんなにも簡単にバレてしまうくらい、表に出てしまうなんて。
ため息をついた私をじっと見た亮太くんは、口を開いた。
「綾瀬さんさー、俺と付き合うー?」
これからさー、コンビニ行くー?
こんなノリだった。
こんなノリで、
とんでもないことを言われた気がする。
「な、に言ってんの」
「俺と付き合う?」
「つきあわ、な、い!
なんで急に!」
え、なんで?嫌なの?
そう聞いてくる亮太くんはいつもの顔で。
なんていうか最近の若者、ノリが軽すぎない?
「なんでそんな軽いの…?」
「綾瀬さんが重いだけじゃない?」
そう言って、亮太くんはへらりと笑った。