シュガー・ボーイを追いかけろ!


竹内くんからパシリ…舎弟のような扱いをされるようになって早半年。

私は今日もパンを運ぶ。

ついさっき告白して振られた人にパンを運んでいるなんて変な話だと思う人もいるかもしれない。

だけど私はそれでいいと本気で思う。

「た、たけうちくん!おまたせ!!」

「おー、サンキュー
お前また脚速くなったんじゃね?」


そう言って笑って、ぐしゃぐしゃになった髪をさらにぐしゃぐしゃとかき混ぜてくる。

その笑顔の為に、私は生きている。

ボサボサの髪のままエヘヘ、と笑うと竹内くんはさっと目をそらしてまた携帯に熱中する。

ああ、一度でいいから竹内くんの携帯になりたい。
彼の視線を集めてみたい。

そんな煩悩にまみれた考えを頭から消して、

「じゃあ私教室戻るね」

声をかけて竹内くんに背を向けた。


「…ありがと」

小さな声でお礼を言ってくれるのもいつものこと。
私はニヤニヤしながら教室へ戻った。

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