シュガー・ボーイを追いかけろ!
帰り道、ヒカルと歩いていると
後ろから聞き慣れた声がして思わず反応してしまった。
振り向けば案の定、
亮太くんと何か話しながら笑っている竹内くんがいた。
笑うとタレ目になって、幼くてかわいい。
そんなことを考えてまた喉のあたりがきゅっと詰まった。
私たちに気づいた竹内くんは、亮太くんと此方へやって来た。
「今帰んのか」
「うん…」
「…なんか今日変じゃねえ?
いつもなら隠し撮りとか靴箱に変な手紙入れたりとかしてくんのに
今日なんもして来ねえし」
「え、ちょ、なつかあんたそれ…」
「そういうの世間ではストーカーっていうよね…」
ヒカルと亮太くんのドン引きした声が聞こえたけどそこはスルーして、竹内くんから目をそらす。
「なんかあったんか?」
怪訝そうな顔で身体を屈めて、私の目線に合わせてくれる。
ちらりと視線を上げると、整い過ぎた顔が此方をじっと見つめていた。
少し釣り気味な目と高い鼻、形の良い唇。
なんかもう私、
そこで思考は途切れた。
「…げ、まじか」
「ちょ、なつかーーー!!!!嘘でしょ大丈夫?!!」
大丈夫じゃないかもしれない。
私、竹内くんに本当に好きな人がいるなんて、
耐えられないかもしれない。
遠のく意識の中でそう思った。